オリーブのなる頃に

【自作小説】オリーブのなるころに 〜第1話〜

 

「お、にい、ちゃん。。。」

六年前の今日、最愛の兄が自殺した。

私はまだ12歳で、兄に晩御飯ができたと伝えに行った時だった。

兄は自分の部屋で首を吊っていた。机の上のパソコンには『遺書』という名のファイルが残されていた。

あの光景は今でも頭から離れない。記憶から消してしまいたいのに、、、

 

***

 

「佳音! おはよっ!」

 

「百乃おはよー!」

 

宝沢百乃とは高校に入ってからの友人だけど、すごく波長が合って一緒にいて楽しい。

銀縁の丸眼鏡がチャームポイント、すぐテンパっていつもひとりであわあわしてる()

 

「今日、田辺先生の授業あるんだよ! あ〜もう、百乃ぜったい寝ちゃう!」

 

田辺先生は歴史の先生で、ものすごく眠くなる声が特徴で、優等生であろうと関係なく寝てしまう。本当に魔の声である。

 

「でも、鈴木先生の授業もあるじゃん。」

 

鈴木先生はイケメンで、百乃もメロメロ。

生徒の中でファンクラブも出来ているらしく、百乃がこのまえ、喜んで会員証を見せてくれた。あまり興味がないためどうでもいいのだけど。

 

「でも、1時限目から体育だよ。やっぱり火曜日はしんどいよー!」

 

「そうだね。同感。」

 

「でも、ホームルームで1時間つぶれるし。 よし!更衣室行こっ!」

 

「うん。でも、百乃ホームルームあんまり好きじゃないよ。だって【さんちゃん】の自慢話とお説教じゃん。」

 

百乃の言う【さんちゃん】とは三田原先生のことで、2年2組の担任だ。

イケメンで授業もうまくて、学年の先生の中で支持率1位。三田原と書いて、「さんだはら」と読むので、みんなから「さんちゃん」と呼ばれている。

私は怖くて、呼べないけど、、、。

 

「まぁ、それでも授業よりはましでしょ? てか、百乃、早く着替えてよ いつも百乃のせいで授業に遅れそうになって怖いんだから!」

 

「だってあと5分あるし、てか、5分しかない?! 百乃、yabainndakedo,,,

 

「だから! 急いでって!」

 

今日も学校が始まる。

この学校では成績が絶対。賢いものは【自由】と【権力】を得ることができる。それと対照的に、バカな者は【時間】と【自由】を奪われる

 

「次、いよいよ田辺先生だよぉ。 あぁ!しゔ。」

 

「では、今配ったプリントで前回と今回の授業の内容が理解できているか試してみましょうね。 はい! ではスタートしてくださいね。」

 

ふぁぁ、眠たい。もう百乃も寝ちゃってるし。あ、寝ちゃダメなのに。授業ちゅ、、、。

 

ー 瞼を閉じる佳音 ー

 

バンッ!

え? ここは、バスの中? 私どうしてここに、、、? そうだ、田辺先生の授業で寝ちゃって夢の中か。百乃も寝てるし今の時刻は、ええと3時22分? 夜中?! まぁいいや、私も寝よ

バンッ!

電気が消えた? でも今の音は何?

ピト、ピト、

血が、滴ってる、、、。

 

「三田原先生?さ、」

 

ツーーーーー。

 

「佳音? 佳音? 大丈夫? 起き、た、の?」

 

ん? この声は、、、。百乃?

 

「私、なんで、、、?」

 

「佳音、田辺先生の授業で寝ちゃって、休憩時間になっても起きなくて、すっごいうなされてて。ほんっとに焦って百乃なんにも出来なくて、通りかかった体育の神原先生が保健室までおんぶして運んでくれたんだよ。」(驚くほどの早口)

 

「あれ、夢、、。三田原先生!!!!!!!!」

 

「え? さんちゃんがどうかしたの? え? 佳音? ちょっ、どこ行くの、佳音!」

 

三田原先生が死んじゃう! 夢の中で殺されてたのは確かに三田原先生だった。職員室、職員室に行って伝えなきゃ。

 

ガラッ!

 

「三田原先生!」

 

「ん? そんなに慌ててどうしたの東堂さん。」

 

「生きてる!三田原先生が生きてる、、、。」

 

「いや、僕はいつも生きてるけど?」

 

「佳音~こんなところにいたの? あ、さんちゃんじゃん。」

 

「宝沢、俺の事をさんちゃんと呼ぶなー、先生だろ?」

 

「あー、さんちゃ、、、いや、先生。で? 何でここに?」

 

***

 

「あぁ、そんなことがあったのか。大丈夫だから安心して。僕は生きてるし、そんな簡単に殺されたりしないし。」

 

「よかったです。」

 

「じゃあ、次の授業がもう始まるし、行こっ!」

 

「うん。そうだね。」

 

「バイバイさんちゃん!

 

「おい!宝沢~~。」

 

三田原先生、ほんとに大丈夫なのかな?。心配だけど私は授業に集中しなきゃ。

この学校にはクラス対抗平均点戦争があるから授業中は死に物狂いでみんな集中するし、休み時間も勉強してる人が多い。幸いうちのクラスは三田原先生の熱血指導で1位をキープしてるため自由に過ごせるが、6位つまり最下位のクラスはほぼ奴隷扱いである。

 

「ねぇ、佳音。次のテストって3週間後だよね? あぁ、どうしよう。私のせいで2位になっちゃったらぁ。」

 

「大丈夫だよ。うちのクラスはみんなが賢いし、百乃も十分賢いじゃん。」

 

「まぁ、さんちゃんがいろいろしてくれるから大丈夫だよね!」

 

三田原先生の熱血っぷりはすごくて。勉強が苦手な子には解説と問題演習の補習授業を、得意な子にはもっと難しくぎりぎり解けないレベルの問題を与えてくれる。

 

「それより今日、部活じゃん! ひっさしぶり!」

 

ーーー放課後ーー

 

「今日も部活疲れた~」

 

「そうだね。」

 

「ねぇ、佳音!久しぶりにお茶でも行かない?」

 

「ごめん、今日このあと塾なの。」

ほんとは私も百乃と遊びに行きたいけど、塾は休めないし、成績を下げたら両親に何と言われることか。

 

「あ、待って! 問題集忘れた、、、。机の中にあるから取ってくるね。待ってて!」

 

「わかった~。ここで待ってるね。」

 

***

 

あれ? 百乃、遅いなぁ。うちの教室は二階だし階段からは1番近いし、

 

「教室行ってみるか。。。。」

 

タッ、タッ、タッ。 階段を上る佳音

 

「百乃~? え、百乃?どうした、の。」

 

教室の扉の前で百乃が膝から崩れていた

 

そして、その奥で、

 

三田原先生が

 

 

首を吊って

 

 

死んでいた。

 

第2話につづく

****

 

<<登場人物紹介>>

東堂佳音(とうどう かのん)・・・この物語の主人公。四年前に兄を無くし、その時から不意儀な能力を手に入れた。真面目で成績優秀。みんなからも良く頼られているが少しクールで不思議チャンなところがある。

宝沢百乃(たからざわ ももの)・・・天然でおっちょこちょいだが友達思いでやさしい子。佳音の1番の親友。佳音とは中学の頃から一緒だとか。兄の死で落ち込んでいた佳音をここまで明るくしてくれた立役者。

三田原侑祐(さんだはら ゆうすけ)・・・佳音と百乃もいる2年2組も担任。学年人気ナンバー1。

 

【次回予告】

三田原先生が自殺で死んでいた。しかし、実は自殺じゃない?二年二組は担任を殺した犯人探しを始める。が、他殺だという証拠もなく、、、。どうなってしまうのか?

次回は1/10更新です!

次話の「オリなる」もお楽しみに!

 

第2話はコチラ↓

【自作小説】オリーブのなるころに 〜第2話〜 「佳音、、、。これ、、夢だよね? すっごく悪い悪夢だよね?」 「百乃、、これは悪夢なんかじゃない。とても悪い現実なんだよ。...

 

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