「佳音、、、。これ、、夢だよね? すっごく悪い悪夢だよね?」
「百乃、、これは悪夢なんかじゃない。とても悪い現実なんだよ。。。」
誰か助けてくれる人、、、先生!
「百乃、いったん職員室行こう。 ね?」
ーーー翌日ーーー
放送)二年二組の生徒は直ちに小会議室に集まってください。繰り返します。二年二組の生徒は直ちに小会議室に集まってください。
「よっ! 東堂、宝沢! 会議室だってよ。誰か問題でも起こしたのか?」
と萩尾が話しかけてきた
「し、知らない。なんだろね。」
昨日はあのあと、職員室にいた学年主任の太田先生に事情を話し、私たちは帰った。
百乃は現場を見てしまったがために、ずっと苦しそうな、悲しそうな顔をしていて私までとても苦しかった。
***
会議室に入ると校長先生が前の机に座っていてとても深刻そうな顔をしている。
「今日は皆さんにお伝えしなければならないことがあります。まずはプリントを配ります。」
私のところにもプリントが届いた。
事故?
三田原先生は首を吊って死んでいたのに? さすがに先生が自殺したというのは発表できないのかな。
「え?」 「まぢかよ。嘘だろ、、、。」
クラスメイトの口から絞り出したような言葉が出ている。担任の先生が昨日までいたのに、次の日学校に来たらもういませんなんて誰が受け入れられるのだろう。
人の死はそんなに簡単に受け入れられるものではない。
いつもは勉強にしか興味がなさそうな顔をしてクラスのことに興味を持たないあの優等生も静かに泣いていた。
「本当に急なことで、我々教師もまだまだ心の整理が追い付いていません。君たちはもっともっとつらいと思います。今日は皆さん家に帰ってゆっくり心の整理をしてください。三田原先生も皆さんが笑顔で学校生活を送ることを望んでいると思います。では、解散。」
「佳音。ぐすっ。どうしよう。私また泣いちゃう、、、。」
「百乃、大丈夫。みんな同じ気持ちだから。」
「今はみんな悲しくて辛くてしんどいんだよ。でも進んでいかなきゃいけない」
「ごめん百乃!ちょっと私やっぱり、やらなきゃいけないことがある!」
みんなが帰る前に!
『待って!』
タッタッタッタ
「どうした?東堂。こんな時に。」
「みんなちょっと待って!伝えなきゃいけないことがあるの。」
階段を下りていたクラスメイトが一斉にふり返る。
やっぱりみんな暗い顔。言ったらもっと悲しむかもしれない、いや、絶対悲しむ。
だけど今言わなかったら後でもっと悲しくなる。
「プリントには、事故で亡くなったって書いてたけど、ほんとは三田原先生は、、、。」
「首を吊ってしんでいたの。」
顔を見合わせる生徒たち。
いつもの一日がこんな過酷な一日になるなんて誰も思ってもみなかっただろう。
「詳しくはここでは話せないから、みんなでファミレス行けない?」
******
平日昼間のファミレス。やっぱりすいてる。これならゆっくり話ができる。よかった。
「じゃあ、さっそくだけど本題に入るね。」
「実は、先生が亡くなっていたのをはじめに見つけたのは百乃なの。教室の教卓の上で三田原先生が首を吊って亡くなってたところを百乃がノートを取りにいったときに見つけて、、、。」
「三田原先生が、自殺。」
みんな信じられないというような顔をしているのに、二人だけ何も感じていないようなしれっとしている人がいた。
「で? 話はそれで終わり? 私、今日彼氏とデートだから早く帰って準備したいんだけど。」
「は?」
「お前何言ってんの? 三田原先生がそんなことするわけないだろ。」
萩尾が言った。
「そう! 私もそう思う。三田原先生は自殺なんてしない。」
「いやいや、あいつだよ? どうせ次のテストが怖くなったとかで自殺したんでしょ。」
みんながそれぞれに思っていることを口走る。
「そんなことないっ!」
「き、北川さん⁈」
北川さん、いつも静かでおしとやかに本読んでるのに、、、。
「三田原先生は引っ込み思案な私に優しく話しかけてくれてクラスになじめるように手助けもしてくれる。そんな三田原先生が自殺なんて、するわけない!」
あの北川さんがこんなに熱心に…。
「だから、みんなで先生を殺した犯人を探さない?」
「え?」
一斉に目が点になってるけど、大丈夫なの、か?
「そんなめんどくさいこと私付き合ってらんない。デートの準備したいし。じゃ!これで失礼するね〜!」
え、ここまで教えて貰った担任になんの感謝もないの?
「今まで私たちが先生に助けて貰った分、今私たちが助ける番だと思うから。」
お願い…。みんなが協力してくれないと私だけの力じゃどうにもできない。
「俺は協力する!」
「萩尾?!」
「俺、先生に散々迷惑かけたし、助けてもらったから」
ちょっと照れたような顔つきで萩尾は言った。
「私も!」「俺も!」
みんな協力してくれる!良かった。
「では、せめて場所は移しませんか?」
新條七海が落ち着いた声で口を開いた
あの子は校長の孫で、大手不動産会社の社長父を持つ生粋のお嬢様。
「うちのアパートメントのゲストルームで話しませんか? そこなら広いですし、誰かに聞かれて困るなんてことも無いですよ?」
この子、笑顔ですごいこと言ってる。
「ほんっとにいいの? ほんとに? マジで? ガチ?」
百乃、食いつきすぎ笑笑
「ええ、もちろん。では、ここからすぐ近くなのでご案内しますね。」
ーーーマンションにてーーー
「うわぁ。これアパートメントって、『タワマン』じゃねぇか!」
「こ、こ、こ、こんなところ行っていいの? 百乃こういうの慣れてなくてどうしよう(;´Д`)」
さすが社長令嬢。広い、快適、誰にも聞かれない。しかもふわっふわのソファーにジュースやお菓子なんかまである。
「場所お借りさせていただいてありがとうございます。」
「いえいえ〜。全て父のおかげですので私は何も〜!」
「皆さん席に座ってください〜!」
「みんな席ついて〜!」
「まず、先生が殺害されたであろう時刻から考えていこうか。」
私と百乃が教室に行ったのが4時過ぎ。あとはそれ以前に教室に行った人が見つかればいい…。
「わたし昨日掃除当番で、ちょっと後片付け時間かかって3時前まで教室にいたよ。」
有力発言。ただ、ちゃんと裏を取っとかないと!
「これを証明出来る方は?」
「私も昨日掃除当番でその後一緒に帰ったから証明出来ます。」
「これで先生が殺された時間は教室に誰もいなくなった3時から発見される4時の1時間。」
1時間…。
でも、教室には行けないし、殺したという証拠さえもないのに、これ以上どうにもできない。
ある男子が突然口を開いた。
「北川? 先生とあの日の3時に相談する約束してただろ? お前が先生の事殺ったんじゃねぇの?」
「え?」
「北川、さ、ん?」
第3話に続く
*****
<<登場人物紹介>>
●東堂佳音(とうどう かのん)・・・この物語の主人公。四年前に兄を無くし、その時から不意儀な能力を手に入れた。真面目で成績優秀。みんなからも良く頼られているが少しクールで不思議チャンなところがある。
●宝沢百乃(たからざわ ももの)・・・天然でおっちょこちょいだが友達思いでやさしい子。佳音の1番の親友。佳音とは中学の頃から一緒だとか。兄の死で落ち込んでいた佳音をここまで明るくしてくれた立役者。
●三田原侑祐(さんだはら ゆうすけ)・・・佳音と百乃もいる2年2組も担任。学年人気ナンバー1。
***
【次回予告】
いつも物静かな北川さんに犯人疑惑浮上?!クラスの絆で先生殺しの犯人に迫る!
次回は1/17更新です!
次話の「オリなる」もお楽しみに!
第3話はコチラ↓


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